理事長所信



理事長 菅原 悠亮

【はじめに】

「青年会議所とは市民意識変革活動団体である。」

私が青年会議所へ入会してはじめに教わった言葉である。

地域のイベントや飲み会が増えたらいいな、くらいの軽い気持ちで青年会議所へ入会した私はもともと意識が高いわけではない。そんな私の意識が変わるのにそう時間はかからなかった。

LOMの事業や地区の事業などの案内に欠席の返事をすると、すぐに連絡がくる。出席を強制されるのではなく出席のお願いをされるのだ。送迎付きで。時には理事長や専務からも。さすがに納得し参加した。そうして出席し続け新入会員当時の例会出席率は100%を達成させていただいた。事業は出たら楽しめる。こうして1年目を100%楽しむことができ、私の意識は変わった。 2年目には、楽しい事業を構築する側に回りたいと希望し、当時の理事長より委員長の機会をいただき、今に至る。

 斜里青年会議所はこのように新入会員に寄り添い、楽しませることで意識を高め、機会を与え成長させることでこの地域の課題を解決し続けてきたのだと思う。

 私も、この地域をより良くするために、メンバーへ成長の機会を与え、「市民意識変革活動団体」であり続けられる組織を目指す。

【新しい仲間】

 2024年までに多くのメンバーが卒業してしまい、正会員数が10名を切りLOMの運営が難しくなる問題を昨年から「斜里青年会議所の2024年問題」としている。

歴史と伝統を受け継ぎ、多くの経験を積んだメンバーからさらなる歴史と伝統を若い世代へ継承し、この地域により良い変化を与える組織であり続けるために、今年度中にこの問題を解決し「斜里青年会議所2024年大問題」にならないようしなければいけない。

 これまで斜里青年会議所では会員拡大を担当委員会に任せていたが、会員拡大は本来メンバー全員で行うことが理想である。全員でやるための意識付けとして、本年度はメンバー全員参加の会員拡大連絡会議を設置し、会員の大幅拡大を目指して「2024年度に正会員20名でスタート」が切れることを目標に掲げ、未来へつながり続ける組織を目指す。

【まち】

2017年度、斜里青年会議所の事業で「鮭日本一のまち」を打ち出し、現在この地域で暮らす町民にこのフレーズは深く浸透している。しかし、18年間続く日本一の鮭漁獲量も年々減少を続け、北海道全体での漁獲量も減少していることから漁獲量日本一の座をかろうじて死守していたものの、2020年には漁獲量日本一の座から陥落してしまった。漁業、中でも鮭定置網が主要産業の1つであるこの地域にとってこのままでいいわけはない。

現在、気候変動の影響も相まって本州では高級魚として知られるブリが鮭の定置網に多く入り、漁獲量も増加している。しかし、この地域でブリを食す文化が根付いておらず漁業・水産業者の利益に結びついていない。この地域にブリを根付かせ、高級魚として浸透させていくことが必要ではなかろうか。

斜里青年会議所が地域とのつながりを強固にし、漁業がこの地域をけん引し、経済的に自立した斜里町であり続けるために、流氷から始まる生態系を活用した強く持続可能な漁業を中心とした水産業の発展に寄与していきたい。

【ひと】

 いろいろな場でこの地域の問題点を考える機会があるが、どこでも少子高齢化や人口減少が課題としてあげられる。多くの場合移住者を増やすことや町外へ転出しないようにすること、興味深い取り組みとしては関係人口を増やすという問題解決策が検討実施されている。しかし、どれも永遠にお金がかかり続けるのではないかと思う。

 私は別な視点で考えてみたい。仕事だ。事実経営者の後継者はどこへ進学しても、就職しても地元へ帰ってくることが多い。おそらく仕事があるからだ。私もそうだった。

しかし、この地域では仕事の選択肢が少ないのだと思う。この仕事をしたいからこの地域に住もうと考える若者は決して多くはない。この地域に企業誘致や新規事業の展開に加え多くの起業家を輩出することで、企業を増やし、多くの職場や職種を増やすこと、それに加え仕事にやりがいを見いだせることがこの地域の人口問題の一つの解決策になるのではなかろうか。

やりがいのある仕事をしている人間が一番いきいきしていてかっこいい。そんないきいきとした人を増やしたい。この解決策を実施できるのは友情という多くのつながりを持つ青年会議所ではないかと思う。

【そしき】

 現在、青年会議所の根幹である会議が長時間化しメンバーの負担になっている。青年会議所の活動に対して、家族や会社からの理解が得られ、能動的に活動できるメンバーを増やしていく必要がある。今後もこの地域に必要とされ誰でも活躍できる組織であり続けるためにも、より効率的な会議システムに挑戦していく。

 少数精鋭のメンバーで活動している斜里青年会議所で、新入会員にもより早く地域に貢献できる人財になることが求められている。地域に良い変化を与える事業【奉仕】をメンバーと協力し【友情】、共に苦労【修練】することで体感しながら三信条を理解し、今後も継続し続ける組織の礎を築きたい。

 LOMの方針を対外に発信し、地域やOB、北海道地区協議会や北海道ブロック協議会、道内各LOMとのつながりを強化することで、力強い事業を構築し、メンバーそれぞれの成長につなげたい。

 今年度キャリア10年を超すメンバーがいなくなった。この経験の浅いメンバーが多い組織にとって、1955年7月5日、75番目の青年会議所として認証を受けて以来続く、先輩諸氏の熱い思いを継承することと、68年間続く(一社)網走青年会議所との友情をより強固なものとしていくことが、今まで以上に必要となっていく。先輩諸氏の熱い思いのこもった後押しを受け、(一社)網走青年会議所と協力し、この地域に大きなインパクトを与えたい。

【地域】

 2019年を最後に3年間運行できていないしれとこ斜里ねぷたが今年40周年を迎える。第1回運行から唯一連続出場を続ける斜里青年会議所としては40周年の記念すべき年に、盛大に開催されることを強く望む。斜里青年会議所もこの3年間で多くのメンバーが入れ替わり、ねぷたを経験したメンバーが少なくなっている。しかし、昨年の弘前ねぷた300年祭へ招待いただき本場を経験することで楽しみ方、楽しませ方を学ぶことができた。

斜里青年会議所として出場し続けた40年間の想いと弘前ねぷた300年祭で経験した熱気を胸にしれとこ斜里ねぷたの持つ意味と伝統と喜びを次の世代に継承したいと強く思

【むすびに】

 新型コロナウイルス感染症が猛威を振るったこの3年間、思い通りの運動が行えなかった。しかしこの期間、感染対策や新たな手法など多くのことを学ぶことができた。今年度、斜里青年会議所は感染対策を徹底し、新型コロナウイルス感染症に屈せず目標に向い進んでいく。

そして、この3年間で薄れかかっている地域や先輩諸氏、他団体などとのつながりを大切にし、運動・活動を展開していく。

斜里青年会議所は「青年が社会により良い変化をもたらすための発展と成長の機会を提供する」という青年会議所の使命を忠実に実行し、「より良い変化」すなわち「運動を作る」ことで現状よりもより良い社会を創造し、いきいきと働くものが増え、地域の基幹産業が活気に満ちた「明るい豊かな社会」の実現に向けて邁進していく。